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アジャイル開発と言葉
アジャイル開発では、驚くほど、言葉を大切にします。それは用語に対する拘泥というのとは、異なります。
用語は大切ですが、
技術者同士の会話にあって、用語を正しく使うことは自明の前提です。そうでなければ、お互いが開発しているモジュールが正しく動作することすらおぼつきません。
たとえば、「改行コード」。
「データの区切りには改行コードを使います」、という言い方は不正確です。「改行コード」という言葉は、データ交換に利用する用語としてはあまり望ましくないからです。
DOSやNVTの世界の技術者は、CRコードが来るまでをデータとして解析しようとするかも知れません。
MAC(OS X以前)の開発者はCRコードの次の文字を次のデータの始まりとして処理するかも知れません。
その一方で、「データ内の空白(改行コードを含む)は無視します」という言い方で問題が生じることはないでしょう。「改行コード」という用語は区切り符号を示すには良くない用語かも知れませんが、空白文字として扱われる文字を示す用語としては、十分に機能的です。
したがって、用語が大切なことは当然です。
しかしアジャイル開発で重視される言葉の大切さは、必ずしも用語に求められものとは異なります。
言葉はもっと大切です
アジャイル開発で言葉が重視されるのは、言葉によって、人間の気持ちが変わることを知っているからです。
それはアジャイル開発が人間と人間のコミュニケーションを大切にすることから来ます。
言葉は、最も重要なコミュニケーションツールです。なぜなら、より重要なコミュニケーションツールである表情や仕草などと異なり、気分や感情を文章として遠く離れた人間に対しても伝えることができるからです。
だから、アジャイル開発の言葉について考えるには、その言葉の正確な仕様レベルの意味ではなく、その言葉が示す気分、その言葉が与える雰囲気、その言葉によってもたらされる感情の動き、その言葉から受ける印象、そういったものに注目しなければなりません。
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