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日々の破片

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2019-07-18

_ 小豆汁を凍らせるとなぜ極端に硬いんだろう?

妻がスノーデザート雪花というのを買ってくれたので、毎晩ガシガシ山ほど買い込んだキッコーマン(いつの間にか紀文ではなくなっていてなぜだろうと調べたりしてここも結構おもしろかった)の豆乳のブリックパックから1つ選んで削って食っている。

何しろ山ほど種類があるというか、意識してみたら驚くほどいろいろあっておもしろい。

キッコーマン豆乳 200ml各種詰合せ 36本セット(12種類×3本づつ) 常温保存可能 

雪花というのはぷにゃぷにゃのプラスティックというかポリエステルみたいな材質のおもちゃで、凍らせたブリックパックがすっぽりおさまる持ち手を上から押さえつける強力スプリングがついた押さえで押し込みながら、手動でカンナの上をすべらせると、しゅるしゅるかき氷が作れるというすぐれものなのだ。スプリングがついた押さえの案配が良いみたいだな。あと、不思議と安全設計なのか刃には凍らせた豆乳以外は当たらないようになっていて、空になったらスプリングの押さえが刃に当たるのではないかと思っていたら全然そんなことはない。

で、気分よく電光石火、電光石火と歌いながら削っているのだ。

ラブレター/電光石火(THE BLUE HEARTS/甲本ヒロト)

ただ、狭い範囲をシャカシャカ単純な動作を繰り返すさまが、まるでウォール街の成功したマーティン・シーンが念願の自動寿司マシーンを買ってくるくるくるくるせせこましく回転させているところみたいで、物悲しくもあっておもしろい。

ウォール街 (字幕版)

妻と二人で成功の象徴がくるくる回しかよと爆笑したのが忘れられない名シーンなので、いやでも意識せざるを得ない。

というのはどうでも良くて問題は小豆なのだ。

メロン、バナナとか実に気分よく削れるのだが、一昨日選んだ小豆は最悪だった。

キッコーマン 豆乳飲料 あずき 200ml×18本×2箱(36本)【梱包C】

これが硬いのなんのって、全然、シャカシャカ気持ちよく削れない。とにかく硬くてひっかかるのなんのって。ガリンコーうんうんガリンコーうんうんみたいな感じだ。もちろん電光石火でもないし、マーティン・シーンのくるくるでもない、ほとんど重いコンダラのようだ。

で、早くも刃がダメになったのかと暗澹たる気分になったわけなのだった。

ところが、昨日取り出した(上から適当に取り出すので何が出てくるかはわからない)アーモンドはまたしてもバナナやメロンのように電光石火の超特急でシャカシャカ削れる。

はて一昨日のあれはなんだったんだ?

で、今朝目覚めて思いついた。

世界で一番硬い食べ物と評判の井村屋のあずきバーだ。

【井村屋アイスクリーム】 BOXあずきバー 8箱入

まったく理由も理屈も想像がつかないが、小豆汁を冷凍するととてつもなく硬くなるに違いない。

あずきバーが世界で一番硬いのなら、豆乳のあずきを削るのが地獄でもそれほど不思議ではないかも知れない。

それにしても不思議だが、2度と豆乳の小豆は雪花用としては買わない。やはりメロンやバナナが最高だ。

スノーデザート 雪花

追記:

おぎじゅんから、井村屋にも専用機があると教えてもらった。

こっちはハンドルクルクルなのでますますマーティン・シーンっぽいが、小豆の硬さには絶対ハンドルのほうが有利だな。

おかしなかき氷 井村屋 あずきバー


2019-07-14

_ マラーニ 通訳

書棚を整理していたら、ガリレオ書院という見慣れぬ封に入った本が出てきてはて? と思ったらマーケットプレイスで購入したらしきイタリア文学が中から出てきて、おれはいつなんでこれを買ったのだろうと訝りながら読み始めると、どうも舞台はスイスで主人公はフランス人(というのはおれの国家と国語と母言語の混乱で実際はスイス人)で、これのどこがマラーニ(という名前から判断できるイタリア文学なのだ?)だろうと考えながらも、あれよあれよという間にドイツ人同士の職場の諍いに巻き込まれていくと同時に、頁を捲る手が止まらなくなり読了。

FBかTwitterで誰かが賞賛していて買ったのかなぁ?

冒頭、主人公の独白で破滅した人間であることが語られる。一人称小説だ。

ジュネーブの国際機関の局長にまで出世した人物だが、母言語以外の言語習得に対してあまり良い思い出がない。それが通訳という母言語以外の多数の言語を習得した人間たちを管理する局長になり多忙な日々を送っている。

複数の言語を操作する人間には何か欠損があるという考えにとらわれている。

(随分と失礼な作品だと思ったら、読了後の巻末解説で、作者本人が多言語話者だということが述べられていて、自分が自分の眷族を別扱いするタイプだったのかなと思う)

ドイツ人の主任が、部下の奇行を告発する手紙を寄越す。実際得体が知れないこの部下は15ヵ国語を自在にこなす不思議な匂いを持つ男で、局長は和を以て貴しとなしたいのでなかなか馘首を宣告できない。

一方、私生活では家具と会話する同伴者との別離がある。

ついに免職のレターにサインをすると、さんざんつきまとわれた挙句、呪いの言葉を聞かされる。原初の言語、蛇がイブを誘惑した言語を、あと一歩で解明できたのに。

通訳は都市名のリストを残し失踪する。

呪いのせいで、局長は突発的に通訳と同じ謎の言語を語る発作に見舞われるようになり、ついに免職、ミュンヘンにある怪しげな精神科医のもとで言語治療を受けることになる。最初にルーマニア語の習得から始まる。

その後、殺人事件に巻き込まれ、自動車ギャングとしてルーマニアの田舎を荒らしまわることになり。ミュンヘンでは浮浪者となる。

さらにリトアニア、エストニアと旅は続く。

最後、すべての謎が解明される。

おもしろい!

通訳 (海外文学セレクション)(ディエゴ マラーニ/Diego Marani/橋本 勝雄)

(既に絶版なのでガリレオ書院なのだな)

ルーマニアのあたりは、ひょんなことから転落した男がギャングになるロードムービーで、気狂いピエロや暗くなるまでこの恋をを彷彿させるし、全体的にはまじめな官僚がちょっとした偶然で山賊になるフルスタリョフ、車を!を彷彿させるし、読みながら映画の記憶ががんがん甦る。特にルーマニアのシーンは好きだし、オデッサの海岸に打ち上げられた一角の群れのシーンも悪くない。

実に良い読書体験だった。

フルスタリョフ、車を! [DVD]

(フルスタリョフの主役の見てくれは精神病院で一緒になる大佐みたいだが、それにしても何か相通じるものがある。フルスタリョフでは逆転からの解放で掴んだ自由を満喫している笑顔で終わるところに通底する心持と同じものを、まったく笑顔はないが、主人公のルーマニアでのギャングっぷりに感じたのだろう)


2019-07-13

_ フルスクラッチから1日でCMSを作る シェルスクリプト高速開発手法入門 改訂2

アスキーの鈴木さんからもらったので、軽く読んだ。

この本、考えてみると次の点からとても良い本だと思う。

・Unixの良く使うコマンドを一通りコンテキストの説明つきで実際に使う

・とにもかくにも動くCMSが作れる

特に重要なのは1番目の点で、sed、grep、awk、cat、man、sort、findとか別にコマンドの説明書ではないから、あくまでも必要になったので使うという書き方だが、こういうのって、頭からman読んだりしても覚えられるものではないし、かといってコマンド順の解説書とかつまらなくて読む気にもなれないし、結局は具体的な打ち方がわからないからman読んでもなぜこういう出力となる? となったりするので、網羅的に使いまくる必要も必然もあり、実際にこう打ってこう出るということが示されるこの本の仕組みは良いものではなかろうか。というか、良いものだ。

で、古くからの定番に加えてgitどころかletsencryptまで出てくるので、現実性も高い。

というわけで、いきなりプログラマーではなく(このタイプの人はRails入門とかNode入門とかのほうが良いだろ)、いざとなったらサーバー管理する必要もあるし、シェル環境を全部使えないのは損みたいな正しい考え方の人で、かつUnixコマンド良く知らない、みたいな人なら手元に置いて読む価値がとても高い。

騙されたと思って先頭からくそまじめに読んでUnixに慣れ親しむのも良いし、ちょっと気軽にそういえばsortの列指定ってどうやんだっけ? とか聞けない環境にいるなら、ある種の問い合わせ用として(辞書的な使い方とは違うけど、へたに「sort カラム 指定」とかグーグルしてゴミの山をかきわけるよりも、索引でsortを引いて出てくる数ページを順に眺めるほうが効率がはるかに良い)手元に置いておくと良いと思う。

あと、なんか(正直なところ)それほど役に立たないBootstrap入門が1章あるのがちょっとおもしろい。おもしろいのは、これだけハードコアでも見た目は気になるってところかな(自分でも良くわからん)。

いずれにしても、この本自体がUnix哲学のインスタンスだから、なるほど、Unix哲学とはこういうことですな、と恐れ入るのも良いし、虚心に学ぶのも良い、実に良い本だ。

フルスクラッチから1日でCMSを作る シェルスクリプト高速開発手法入門 改訂2版(上田 隆一/後藤 大地/USP研究所)


2019-06-18

_ 人はどのように鉄を作ってきたか、読了

Twitterを眺めていたら、誰かのツィットで妙におもしろそうな本だったので買って読んだ。

天下の奇書と呼んで差支えなかろう。

とにもかくにも読了したのはおもしろかったからなのだが、一方、まるで聖書(の旧約聖書で人名がずらずら並ぶあたり)を読んでいるかのような苦行でもあった。

最初は、何しろ鉄の作り方なんて知らないから実に興味深い。高温で溶かすための仕組みや、化学反応で炭素や酸素を取り除いたりする過程がおもしろいのなんのって、おう、こういうものを楽しめるということは、中学高校で習った化学の基礎知識は役に立っているうえに身にもついてるじゃん(といっても、基本、FeとCとOしか出てこないから単純極まりないわけだけど)、とか思わぬ自己発見すらある。

が、1/4くらい読み終わるうちに、世界中の溶鉱炉を訪ね、歴史上の製鉄技術を訪ね、さまざまな鉄の作り方が説明されているうちに大きな疑問が湧いて来る。

砂鉄しか取れない日本、鉄鉱石のうち~成分が多い地方、~成分が多い地方、コークスを発明したイギリス、炉の作り方にも地域特性があるからそれぞれで作り方が異なるのは良いけれど、

羽口前で木炭を燃焼すると、羽口前から上部は酸化雰囲気になり温度が上がった。そこに銑鉄や鋼の小片、あるいは銑鉄の棒の先端を挿入しゆっくり加熱し溶解した。銑鉄は溶け、脱炭しながら炉底のスラグ溜めに滴下した。滴下に応じて銑鉄棒を少しずつ炉に挿入し、木炭を常にいっぱいになるよう装荷した。このとき銑鉄中のシリコンが酸化し、鉄も一部酸化してファイアライト組成のスラグを生成し炉底に流れ落ちる。スラグ溜めには(後略、37%)

みたいな、観察記録が延々と続くのだった。で、確かにどのタイミングで何が起きるか、いつ酸化するか、いつ脱炭するかは、それぞれで微妙に異なるし、燃料や炉の形状によって温度も異なるのだが、言ってしまえば、末尾に;がつくか、ステートメントの切れ目に:がつくかみたいな違いをずーっと文章で説明している。著者もすごいが、編集者もえらいよ、この本は。

そりゃ、そういう本なのだというのはわかるのだが、もうずっとなぜおれはこんな細かい相違点について同じような文章を延々と読んでいるのだろうか? という疑問が離れない。良くできたスクリアビンの音楽のようでもある。窓が違うが出てくる顔はみな同じというやつだ。

が、それが読書の快感でもあるのが不可解極まりない。まさにスクリアビン的だ。

少なくとも小学校高学年か中学生のうちに、本書を読んで、読了後に、反射炉と第3の製鉄方法と、たたら製法の違いについて400字にまとめる能力を身に着けると、すごくよろしかろうとかすら考える。というか、入試問題用の文章としては抜群に良いかも。

たたら製法によって作った鉄は現代式の鉄よりも錆びないメカニズムの説明とかもえらく興味深い。鉄といっても純Feではないので、酸化しかたが異なるからだ。

そして、最後、驚くべきことに電子レンジを使った製鉄が出てくる。そんなことできるの? それができるということが説明される。

アルミナやマグネシアは室温ではほとんどマイクロ波を吸収しないが、1000℃程度の高温になると突然発熱し暴走することがある。マグネタイトや炭材は室温から周波数2.45GHzのマイクロ波をよく吸収し、ヘマタイトは300℃以上で吸収するようになる。そこで、鉄鉱石と炭材の混合粉末にマイクロ波を照射すると、原料自体が効率良く発熱し製鉄ができる。

図19-3に電子レンジを用いた製鉄実験の図を示す。(後略)

で、化石燃料で製鉄するよりも電気のほうが高効率なので、どうすれば製鉄所を電化できるかの考察に向かう。抜群におもしろい。読み進めていて良かった!

人はどのように鉄を作ってきたか 4000年の歴史と製鉄の原理 (ブルーバックス)(永田和宏)

それにしてもこの人が1950年代の中華人民共和国にいたら、土炮炉大作戦が成功して=大躍進に成功して、世界の在り方もずいぶん違っていたかも、とか思わなくもない。

【※CDではありません】ディアギレフへのオマージュ-3/プロコフィエフ:鋼鉄の歩みOp.41,リャードフ:キキモラOp.63,ストラヴィンスキー:3つの舞曲~ペトルーシュカ【中古LP】(I.マルケヴィチ指揮フィルハーモニアo./【仏COLUMBIA】FCX 359)


2019-06-09

_ プッチーニと新海誠

音楽で一番好きなのはプッチーニだが、もちろん演奏家と体調といったものにも左右される。ただ、たとえば蝶々夫人の花嫁行列が立ち現れるところや、トゥランドットでリューが氷の女王の次に歌うバイオリンソロに重ねて歌い始める箇所など、そこのメロディとオーケストレーション、特にオーケストレーションなので音色ということになるのだが、に凄まじい快感があって、それはワーグナーだとジークフリートの最後ハープが上昇してブリュンヒルデが目覚めの挨拶を歌い出す瞬間とかでもそうなのだが(そしてワーグナーの場合は全作品を通して、そこしかない。あとはザンドナーイのフランチェスカの3幕途中の箇所とか北イタリア学派にはそれなりにあるので、おそらく和声進行と音色が特におれにとっては重要なのだろう)、快感としか表現しようがない。カタルシスではない。

で、それ以外の表現芸術ではこの種の快感というのはまったくないのだが(唯一の例外が、とても良くできた飛翔シーン、それも飛び立った瞬間の映画や舞台となるのだが、これまで舞台では野田秀樹で1回だけ、映画でも数えるほどしかない)、今日、新国立劇場で蝶々夫人を観ていて、あれ? 昨日、映画館で同種の快感を味わったぞ、と気づいた。

で、昨日観たのはアラジンだが、確かに飛翔シーンはあり、メンケンの音楽は最高だが、でもアニメほどの快感はなく、あれはなんだったか? と考えて、思い出したが、新海誠の天気の子の予告編なのだった。

新海誠は、まともに観たのは君の名はだけだし、正直まったく絵柄も話も何もかもが好きではないが(ついでだが、アニメの声優のセリフ回しが実に気持ちが悪く耳に不快でたまらんのだが、ジブリの場合は同じような感覚の人が作っているのか、とてもまともに観ていられる)、空に向けてカメラが向けられてそこから光が注ぎ落ちる映像は別格だ。あれはプッチーニと同じくらいの快感で、ということは、天気の子は映画館に観に行くのだろうなぁと思うのだった。


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