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日々の破片

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2014-12-28

_ 最貧困女子を読んだ

妻が図書館から借りてきたので最貧困女子を読んだ。

いろいろ考える。

なぜ、おれはこんな本を読んでいるのだろうか?

3つくらい考える。

1) 日本の姿のある面を知るため。つまりは、社会やこの国のあり方をどうすべきかの論議の種子を得てそれについての自分の考えを持つために読むのだ。

2)好奇心を満足させるため。おれは最貧困でも女子でもない。したがって、それについては知らない。知らないことは知りたい。だから読むのだ。

3)ミームの媒介。人類として生きているということは、当然、ミームを媒介するために存在しているということだ。2)はそのために仕組まれた機能なのだから、むしろこちらが本筋で、著者には強い思いがあり、それが著作として評判を得たのだから、反応して媒介することになるのは当然だ。

それはそれとして、途中から、3)の役割はこの本ではないなという感覚に襲われる。というのは、わざわざ1)を考えてしまうような人間に届いてもミームとしてはいまいち意味がない。

その一方で、2)のはずなのに、えらく既視感がある。読み続けていくとスカウトという言葉が出てきて、あーっと既視感の理由がわかった。

新宿スワンだ。

新宿スワン(1) (ヤングマガジンコミックス)(和久井健)

物語中でそれなりに幸福そうな女性は、札幌に行ってかっての主人公の部下と所帯を持った性格の良い女性だったり、ヤクザの親分の愛人になっているやたらと気風が良い女性だったりで、不幸のどん底まっしぐらなのはどうみてもどこか異常な女性(まあ男性もそうだが)だ(が、それなりに同情せざるを得ない事情があったりもする)。そこで語られる幸福感はまさに最貧困女子で語られる幸福感(弱者同士の傷のなめ合いというか、共依存関係)だったりする。

自分にとっての比較的近所(新宿区)を舞台にした異次元ドラマのように読めてしまうのだが、相当、真実味がある物語だったのだなぁ。この作家は何者なんだろう? 大したやつだ。

すると1つ不思議になるのは(実際にはどうでも良いし本筋とは別の大きなテーマとなるから外れているのは当然なのだろうけど)、最貧困女子には暴力団がちらつかないことだ。

新宿スワンのほうが、最貧困女子よりも優れているとしたら、それはそれぞれの事情に斟酌が必要なことが読者にストレートに伝えることができる点だ。

そして、もしも、このまま経済成長が進まないまま地方共同体での狭い世界の住人が国民の主流となるとすると、現状救われない人は永遠に救われないまま隔離されることになる。

必要なのは、自分たちと異なる人が存在し、同じく権利を持っていることをまず理解する/させることだ(そのあとで、10億人の幸福のためなら数100万人死んでもどうでも良いというような政治判断をしたければすれば良いのであって、理解できないから切り捨てるというのは民主主義ではない)。

とすれば次に必要となるミームの拡散に必要なメディアは物語を語れるものだ。

と考えたのかどうかは知らんが、これはそういうものなのかな?

ギャングース(1) (モーニングコミックス)(肥谷圭介/鈴木大介)


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