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日々の破片

著作一覧

2018-01-21

_ 新国立劇場のこうもり

エレートのこうもり。

2011年2015年に続いて3回目。

いやぁ、実に良いなぁ。

指揮はエシュヴェ。ウィーン風なのだろうが、ワルツが小学校のトライアングルの形の指揮のような正三角形ではなく、ほとんど2拍子で(そのため、どれがワルツでどれがポルカかときどきわからなくなる)緩急自在、オーケストラ(東京交響楽団)がちゃんとついてくるのが素晴らしい。2幕の途中でずっとボーっと低音の木管が鳴るところがあるのだがこのあたりも実に良いものだった。

冒頭、今回はコウモリ博士の手引きで歌手(アルフレード)が登場するのをきちんと確認できた。1幕最後にロザリンデに博士の手紙が届くところは、最初意味がわからなかったが、今となっては良くわかる。

2幕でアデーレがイーダと、だまされたと怒るところで、今回はっきりと、博士の陰謀に単に巻き込まれただけとわかったが、それにしては(物語上)すさまじくアドリブがきくので、これは確かに女優向きではある。幕がしまったあと、公爵と所長のどちらがパトロンになるかで揉めそうだ。

前回こうもりを見てから、今回までの間に、メリーウィドウやチャルダーシュの女王とか他のオペレッタも観たので、オペレッタのコンテキストは艶笑譚だと知ったわけだが、そういう見方をすれば、確かに、エイゼンシュタインが靴はどこだ? と聞くところで、アデーレとロザリンデが同時に私のベッドの下と答えるところから、アデーレの立ち位置はすごく微妙だな、とか公爵の館でアデーレを認めたエイゼンシュタインの怒りが相当下司いとかどうでも良いところで見えてくる。

公爵は、去年薔薇の騎士でオクタヴィアンを歌った人。衣装あわせてものすごくフォトジェニックで素晴らしいのだが、どうも声が響かない(オーケストラに食われる)。それでも壁の手前で歌う前半は良いのだが、大広間が出て来て反響が減るととたんに全然聞こえなくなる。いっぽう、アデーレは立派なものだし、それ以上にエレートが常に響き渡るのはすばらしいな。

3幕、弁護士の鬘を投げ捨てて机の上に立ち上がって、おれはエイゼンシュタインだ! から始まるところは実に素晴らしい(前回も印象的だった)。1幕の悲しい悲しいから、心は乱れて夜が待ちきれなくてうきうきのところは何度見ても楽しい楽しい。

アルフレードが牢屋の中でヴェンチェーラ(トゥランドット)だのヴィットーリア(オテロ)だの歌ったあげく引っ張りだされて星は光りぬと歌いっぱなしで、これがなかなか聴かせる。星は光りぬでは拍手。1幕はリゴレットはわかった。鳥の歌は小鳥も白鳥もわからん。白鳥は当然のようにローエングリンだとは思うが。絵姿の歌はわかったけど。

ルナールとシャグランは西新宿2丁目と4丁目に住んでいるらしい。

心の底から楽しかった。


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