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日々の破片

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2023-07-22

_ 君たちはどう生きるか

バイロイトに行っている間に打ち切りということはないだろうが、それでも状況の変化はわからないので、豊洲で君たちはどう生きるか。

大して宮崎駿の映画は見ていないので、13個のブロックの意味などわかるわけもないが、それでも、正ー反ー合の弁証法で映画を作っていることは薄々気づいてはいた。

千と千尋の神隠しの神隠しは明確に現実世界ー異世界ー現実世界だし、ナウシカは危うい平和ー戦争ー平和、ポニョも何かが欠落している平和ー嵐ー充足した平和、トトロやハウルやラピュタも同じような感じだ。その中で主人公が老婆と一緒に反世界を合一させるためにいろいろ頑張る。その過程でなんらかの恋愛関係が生じるようで結局生じない(少なくとも合パートでは行動を共にしない、ラピュタについてはわからないが)。

君たちはどう生きるかも、そういう観点では同じ構造で、現実世界(軍靴の足音は聞こえているし、主人公は母親の喪失と母親の侵入に落ち着けないし、疎開先のいじめ問題もある)-思弁世界での大冒険-現実世界(インコが群舞した後から数年たってなんとなく落ち着いてはいるし、二人の母親との関係性の悩みのようなものは解消したようだ)と動く。ただし思弁世界では老婆が若返っているし、恋愛になりようがない自覚ある母親と行動を共にしていて、代わりに思弁世界を危ういバランスで支えている老人がいる。というか、今書いて気づいたが、女性は老「婆」で男性が老「人」なのはバランスに欠いている(老爺という言葉は存在するが、それほど利用しないし一般的にもそれほど利用されていないのでは)。

反の世界で主人公は否をつきつけて合に持ち込むのはいつもと同じなのだが、本作の場合は支配しているのが敵ではなく身内なうえに思弁世界の後継者を求めているところが違う。違うが、気持ちよく否を突きつけるので観ていて少し驚きもあり、心地良くもある。

子供は説教臭そうだから行かないと言って行かなかったが、そういう意味では説教は垂れられるが否を突きつけるので臭くはなかった。

おもしろかった。


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